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1歳児連れの外国人旅行者が日本滞在中に感じた「子供を巡る日本の環境」

  • カテゴリー:ニュース番組
ベビーカーで電車に乗るのは迷惑、泣き声がうるさくて睨まれる……。日本では欧米に比べ、子連れに対しての社会の眼差しが厳しい印象がある。そんななか、訪日外国人客数は過去最速で2000万人を突破。果たして子連れの観光客は日本の受け入れ態勢をどう思っているのか? 1歳4か月の男の子を連れた夫婦に密着した。

◆子どもに対してのスペースがあまりに足りない

 今回、取材に協力してくれたのは筆者の弟夫妻。6年前からポーランドで暮らす夫Mと、過去2回来日経験のあるポーランド人の妻U、そして生まれて初めて日本にやってきたTくんだ。

 過去、何度も社会的に議論となってきた日本社会の子連れへの対応。SNSでも悩みを打ち明ける親に対して、熱く共感するコメントから、より傷口を拡げるような声まで、いろいろな反応があるが、実際のところはどうなのだろうか? 東京~神戸~広島と旅した夫婦に密着すると、案の定というものから、意外なものまで、さまざまな反応を得られた。まずはネガティブな面から挙げてもらった。

 まず、生後1歳4か月のTくんとともに行動していて、独り身の筆者ですら感じたのはエレベーターや広いエスカレーターの数が足りないということだ。そもそも、日々の通勤でも狭く感じる駅の導線やホームは子連れ、しかもベビーカーもあるとなると、なおさらギュウギュウに感じてしまう。一駅移動するのにも、かなりの時間がかかるのが現実だ。

「ベビーカーで移動するときは一番困ります。エレベーターはどこも混んでいるし、数も少ない。電車やバスなど、公共交通機関にベビーカーを置くスペースがほとんどないので、乗り物に乗るのは大変です」(U)

 子連れだからと、エレベーターの順番を譲ってくれる人が多く温かさも感じたいっぽうで、インフラ不足を痛感することとなった。ベビーカーは車内でも身障者用スペースに置くのが精一杯で、もう少し空きスペースがあれば……と願わずにはいられない。

 日本の鉄道の乗車率が高いということもあるだろうが、車両の連結部が広く、自転車用などの空きスペースが大きい欧米と比べ、やはり手狭な印象だ。「抱っこ紐を使う人が圧倒的に多い」(M)というのも、そういった理由があるからだろう。

 また、移動手段に関しては、「チャイルドシートのついたタクシーがほとんど走っていない」という意見も出た。

 続いては、デパートやショッピングモールといった商業施設。ファミリー層の購買を促すためには、子どもへの対応も重要だが……。

「子どもを預ける場所がない。ポーランドをはじめとして、ヨーロッパでは託児所のような設備が設置されています。親は子どもがぐずったときのために電話番号を渡しますが、預けたまま買い物ができる。万が一、泣き始めたりしても、デパートやモール内ならすぐに戻れますし、安心してショッピングができるんです」(U)

 商業施設内では、オムツや服を替えるためのスペースも、まだまだ足りないとのこと。狭いトイレの個室や洗面台で暴れる子どもを着替えさせるのは、たしかに大変そうだ……。

 さらにはこんな意見も。

「これは商業施設に限ったことじゃないけど、どこもうるさすぎる。街中を歩いていたり、人通りの多いところなら仕方ないけど、子ども用のスペースですら、BGMやアナウンスのボリュームが大きい。あれはなんとかしてほしい」(M)

 子どもを楽しませたり、安全喚起という意味合いもあるのかもしれないが、親にはありがた迷惑なようだ。

 そして、最後に子連れで不便な点として挙がったのは、なんと日本の合理性・利便性の象徴とも言えるコンビニ。いったい、なぜ?

「あんなになんでも揃ってるのに、子ども用の食品コーナーや売り場がないのは本当に困る。言葉が通じないと、なおさら不便なんじゃないかな。ヨーロッパなら、どんなに小さいお店でもワンコーナー、子ども用の商品が揃った売り場がある。日本のコンビニは犬猫用のペットフードすら充実してるのに、子どもの食品をほとんど置いてないのは不思議だよね」(M)

 少子化で需要がないから? とも思ってしまうが、なんでも揃うコンビニに乳幼児・子ども向けの商品が足りていないのは、たしかに不便だ。

ハーバービジネスオンライン: 1歳4か月で初めて日本にやってきたTくん。果たして彼が大人になったとき、日本の子育て事情はどうなっているのだろうか?© HARBOR BUSINESS Online 提供 1歳4か月で初めて日本にやってきたTくん。果たして彼が大人になったとき、日本の子育て事情はどうなっているのだろうか?

◆子どもに優しい日本の設備とは?

 しかし、暗部ばかりが語られがちな日本だが、明るい面もある。「全体的には悪くないし、オーケー。人も子どもに優しい印象」(U)と言うように、まだまだ日本社会には人情が残っている。

 ネガティブな要素と同じ順番でいい点を挙げてもらった。まずは移動手段。

「小さな駅でも、トイレの個室に赤ちゃん用のシートがあるのはスゴく便利。ポーランドにはないので、母親1人で子どもを連れたままトイレに行くと本当に大変だから」(U)

 さらに商業施設や飲食店でも、利便性を感じるという。

「郊外のモールどかデパートに、キッズランドが多くて、しかも広い。あとおもちゃ売り場に、子どもが触れる商品を置いているのも親としては助かる。実際に遊んで気に入るかどうか試せて、買うときに失敗しにくい(笑)」(M)

「デパートもそうだし、行楽地でベビーカーの貸し出しをしてくれるのも便利! 借りられるなら、最悪抱っこしたまま移動して、現地でベビーカーに乗せれば済むしね。あと、レストランでは、赤ちゃん用の食器があるのもいい。ベビーカーを置く場所がないところは多いけど、サービスは行き届いてると思う」

 スペースの問題でインフラには難ありでも、サービスでカバーできている面もあるようだ。たしかに、一緒に食事をしに行くと、ベビーカーを置ける席はかぎられたが、子ども用のメニューやお皿などが充実している飲食店は多かった。

◆子どもへの理解・投資は社会の成長に繋がる

 ここまで子連れに対する陰陽を見てきたが、最後に社会全体の子育てに関するありかたを聞いてみた。超少子高齢化社会となっている日本において、未来を担う子どもたちの育児や保育はどう考えるべきなのだろうか?

「日本ではどうか知りませんが、欧米では妊婦や子どもを“重荷”のように扱うことは一切許されません。たとえば、政治家がそんなことを口にすれば、政治生命どころか、社会人としての命を立つのに等しい行為です。また、レストランや駐車場、どこで並んでも子連れは最優先されますし、入口に一番近いです。女性が妊娠して仕事を辞めさせられることもありませんし、育休どころか補助金までもらえるぐらいです」(U)

 子どもを産みたいけど、社会からの後押しや助けがなくて産めない……。そんなことはもってのほか。現在、日本ではネット上での匿名の“意見”だけでなく、公職についている人間からすら堂々と育児について辛辣な意見が出ているが、そんな状況も考えられないようだ。

「僕らが暮らしているところでは、社会的にも文化的にも子連れを大事にしようという意識が強い。子どもが泣いているからじろじろ見るなんて、まずありえない。すべての仕組みを子どもに合わせていて理解があります。国を大きくするなら、それは最低限の投資。子どもは未来の生産者、納税者なのに、日本の政治家にはその意識が足りないと思う」(M)

 連休が続く秋の始まり。子連れで出かけた、子連れを多く見かけたという読者の方も少なくないはずだ。我々は行楽シーズンで感じた何気ない思いを、ほんの少し掘り下げてみるべきなのかもしれない。外国人観光客が「子連れでも旅行者としては楽しめた!」(U)というように、日本で子どもを育てるすべての人々が毎日を幸せに過ごせるよう。

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